2週間ほど前に親知らずの抜歯と手術をしたが傷がふさがらず血が止まらない、患部も痛いが顔半分が痛い。
身体をみせてもらうと、手の陽明大腸経という経絡(人差し指から鼻の穴までの経絡)に異常な緊張が、特に前腕部に。
その緊張が取れるように施術を行うと、1週間後には傷がふさがり血が止まり、痛みもほぼなくなったそうです。
二千年前ではこの経絡は歯の経絡といわれていたようです。
今でもこの経絡は下の歯、足の陽明胃経は上の歯を栄養するといわれています。
前腕部の緊張が取れると歯茎の治癒力が高まる。
顔や口の周りには鍼はしません。
魔法ではなくそのような仕組みがあるだけです。
先日も手の陽明大腸経に強い緊張のある方に歯の不具合を尋ねると、歯の不具合があるという方と、現在治療中という方がいました。
目と口の周りの筋肉がピクピクするという方が鍼灸を受けたら、その筋肉にばかり鍼を打たれたそうで、「そこは結果であって原因ではないんじゃないか」とうちに来てくれた方がいました。
たくさん考えている方って好きです。
仕組みを説明しその筋肉には1本も鍼は刺しませんでした。
すっかり良くなったそうですが、今度は反対側に出たそうです。
でも、「たまってたものが出てる感じがするから治ると思う」とおっしゃっていました。
中医学とは心をも含む全身をくまなく網羅する仕組みです。
僕たち鍼灸師はその仕組みを使わせてもらっています。
仕組みを理解する。ここまでは簡単です。
クライアントを理解する。ここが難解なのではないでしょうか。
クライアントを理解せずその仕組みを適用することは不可能です。
そして自分を理解せずクライアントを理解することは不可能です。
僕たち鍼灸師が次に学ぶべきところはこの辺なんじゃないかなと思っています。
お読みいただきありがとうございました。
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